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消渇病 糖尿病の漢方療法 [漢方薬のいろいろ]

 成人病の代表格といえば糖尿病です。百万人の病気ともいわれ、会社の健康診断で軽い糖尿病が発見されるケースは珍しくありません。この病気は、古人をも悩ませ続けたものとみえて、例えば紀元前1500年ごろのエジプト遺跡から出てきたパピルス紙にも“多尿?ロ渇?体重減少”という糖尿病特有の症状の記載があるといわれます。

 現代医学的に言えば、老化とともに全身のホルモンバランスの崩れから、血糖値の高くなるケースが多いとされています。全身のバランスコントロールを心がけるうえでも、漢方薬は格好のクスリとなるはずです。

 中国でも、紀元前500年ごろに著されたと伝えられる中国漢方のバイプル「黄帝内経」に、「消渇(しょうかち)」という病名が登場します。体力の消耗とノドの渇きが激しい疾患ということで、今日の糖尿病に相当するものだとされています。

 この「消渇病」の漢方療法が確立したのは、今から1000年ほど前のこと。糖尿病の三大症状といえば、ロの渇き、多尿、食欲の高進(重症では低下)の3つです。3症状の強弱によって処方も変わる。この中の、どの症状が最も強く出るかによって、消渇病を上消?中消?下消の3つのスタイルに分け、それぞれの漢方処方が考案されて効果をあげるようになりました。

 ロ渇の強さが特徴の上消タイプには、ノドの渇きをとる百虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)や八仙丸が効果的です。大半の糖尿病は、体液の消耗によるノドの渇きや、疲れ、精力の減退を訴えます。これはまさしく老化による腎(じん)虚の症状であり、このような場合には腎を補強し、体液を増す作用のある八仙丸の適応ということになるわけです。

 食べても食べても満腹感のない中消タイプには、食欲高進のもとになっている胃の熱をさましながら、体液を増すことが必要で、増液湯(ぞうえきとう)に黄連(おうれん)を加えて服用するのが一つの方法です。

 尿の多い下消タイプには、ほてり感が強いときは六味地黄丸を桑ひょう蛸(そうひょうしょう)、金桜子(きんおうし)などを煎じた液で服用するなどの方法があリます。とりわけのぼせ感の強いときは知柏地黄丸(ちばくじおうがん)が適しています。これら三つの症状は、同時にあらわれることも多く、その場合には前述した処方を組み合わせたり、各人に合わせた漢方処方を考えることになります。

 この病気は治りにくいものですが、食事や運動療法を取り入れて体調をうまくコントロールしていくなら、一病息災とすることも可能です。



漢方薬とはどのような薬なのでしょうか? [漢方薬のいろいろ]


漢方薬はいくつもの生薬を組み合わせて作られる薬です。

漢方薬は、数千年の年月をかけて、患者さんの症状に合った生薬の組み合わせ(処方)を生み出しました。それをもとに、日本の現状に合わせて発展させてきたのが、漢方薬です。

小さくきざんだ生薬を煎じてのむ、伝統的な煎剤もありますが、今、わが国で広く使われているのは、煎じ薬を乾燥させてアルミパックに入れ、持ちやすく、また飲みやすくしたエキス剤(医療用漢方製剤)です。

漢方薬の基本的な考え方は、人がもっている病気を治す力を高めることです。

よく「漢方」イコール「漢方薬」と思っている方がいますが、漢方薬は漢方という東洋医学の一部で、他に針灸、養生、按摩、気功?太極拳なども、漢方医学の治療法です。
これらはみな、誰もがもともと持っている、病気と闘い、治す力(自然治癒力)を高め、からだを整えることを基本にしています。

漢方薬は、一人ひとりの個人差を重視して、 使い分けています。

そのため漢方は、病名で診断することだけでなく、患者さん一人ひとりの体質や病気の状態を見きわめながら、最適な漢方薬を使い分けていく、いわゆる「オーダーメード」の治療だといえましょう。

ですから、同じ病気でも患者さんの状態によってのむ薬が違ったり(同病異治)、ひとつの薬がいろいろな病気に応用される (異病同治)こともあります。



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